GeoWeek 2024 レーザースキャン機器の精度検証結果を報告します

Geo Week 2024は、地理空間技術と建設業界専門家が集う国際的なイベントで、最新の技術やソリューションが紹介されました。その会場にて有名なレーザースキャナーを複数比較して精度検証を行いました。

下記は要約内容になります。

 

以下は、「Emesent Hovermap精度レポート(2024年版)」の要約であり、比較対象となったすべての機器についても言及しています。

概要

このレポートでは、EmesentのHovermap ST-XスキャナーがAuraソフトウェアを利用して生成する3Dデータの精度、再現性、ロバスト性を評価し、他のSLAMおよびTLS(地上レーザースキャナー)技術を使用する主要スキャナーと比較しました。2024年のGeoWeekイベントにおけるU.S. Institute of Building Documentation(USIBD)の評価では、Hovermapが他のシステムに対して大幅に優れた性能を発揮することが確認されました。

Hovermapの主な特徴

  1. 高精度なSLAM技術
  • 背景: CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)による2008年の研究を基に、先進的なSLAMアルゴリズム「Wildcat SLAM」を搭載。
  • 成果: DARPA地下チャレンジやHilti SLAMチャレンジなどのコンテストで優勝実績。

 

  1. 高品質データのための設計
  • 回転型LiDARピック: 均一かつ一貫した3D点群データ収集を可能にし、360度全方位をカバー。
  • 自動GCP(地上制御点)ワークフロー: Auraソフトウェアを活用し、自動的にGCPを検出・処理することでジオリファレンスの精度を向上。
  • ISO 9001認証プロセス: 校正精度と品質管理を徹底し、各ユニットが最高水準の性能を発揮。

 

  1. 幅広い適用性
  • ドローン、手持ち、車両搭載など多様な運用方法をサポート。
  • 難しい環境(トンネルや特徴の少ない視野)でも高いロバスト性を実現。

 

評価概要

試験環境

  • デンバー・コンベンションセンターの複雑な屋内環境を使用。
  • 材料の多様性(ガラス窓、反射材、高い天井など)や移動する人々の存在など、LiDAR システムにとって難易度の高い条件を再現。

 

データ収集手法

  1. 高速スキャン: ジョギング速度、ループクロージャーなし。
  2. 標準スキャン: 歩行速度、複数のループクロージャーを形成。
  3. 長距離スキャン: 広範囲をカバーし追加のループクロージャーを含む。

 

評価指標

  • グローバル精度、ペアワイズ距離誤差、ノイズ除去、処理時間などを評価。

 

比較対象機器とその特徴

SLAM ベース

  1. NavVis VLX3: o 高性能SLAM マッピングシステム。

o 結果: 平均グローバル精度32.6 ± 13.5mm。

 

  1. Exyn Nexys Pro: o Velodyne およびHesai LiDAR を使用するシステム。

o 制約: RGB や強度データが不足し、完全な精度評価は不可。

 

  1. GreenValley LiGrip H300: o 携帯型SLAM システム。

o 結果: 平均グローバル精度49.8 ± 34.8mm。制御点の一部が不明確。

 

  1. Gexcel Heron Twin: o 屋内外でのモバイルマッピング向け。

o 制約: 大きな「フロアの歪み」(最大2.8m の誤差)により精度評価から除外。

 

 

TLSベース

  1. Riegl VZ-600i: o 基準データとして使用される高精度TLSスキャナー。

o 結果: 提供されたデータの精度結果は未公開だが信頼性が高い。

 

  1. Z&F 5015 TLS: o 結果: 平均グローバル精度21.3 ± 23.7mm。SLAMシステムと比較して高精度だが、運用効率で劣る。

 

  1. Faro Focus: o 静的TLSスキャナー。

o 結果: 平均グローバル精度34.5 ± 21.6mm。

 

  1. Faro Orbis: o Faro Focusの派生型。

o 制約: 測定エリアが他スキャナーより狭い。

 

 

評価結果

Hovermapの精度

  1. グローバル精度(標準スキャン): o GCP未使用時: 平均17.3mm ± 6.4mm。

o GCP使用時: 平均8.5mm ± 4.6mm。

 

  1. ペアワイズ距離誤差: o GCP未使用時: 平均10.3mm ± 6.6mm。

o GCP使用時: 平均4.4mm ± 3.1mm。

 

  1. 高速スキャンの成果: o ジョギング速度でもGCP使用時に6.1mmという高い精度を実現。

 

 

他のスキャナーとの比較

  • SLAMベースでは、Hovermapが他を圧倒。
  • TLSシステムと比較しても、Hovermapはデータ収集速度や環境適応性で優位。

 

結論

Hovermap ST-Xは、SLAMベースのLiDARスキャナーとして最高峰の性能を持ち、正確性、再現性、ロバスト性において他を凌駕しています。特に自動GCPワークフローによって、厳しい条件下でも精度の高いデータ取得が可能です。TLSスキャナーを超える効率性を持ちながら、SLAM技術の利点を活かして多様な環境に対応可能であり、あらゆる測量やマッピングの現場に適したソリューションであることが証明されました。

投稿者プロフィール

シーズプロジェクト

ドローン点検・ドローン測量・8K空撮・運用管理

株式会社シーズプロジェクト Hovermap事業部
ドローン操縦のプロフェッショナルとして30年以上の経験がございます。ドローンによる橋梁点検、煙突点検といった建設コンサルティング領域から測量業務、8K空撮業務、社内ドローンの運用・管理のコンサルティング等、お客様のニーズに応じて対応させていただきます。